雇用と消費 2016 10 29

 雇用が堅調なのに消費支出が低迷しているというニュースがありますが、
今の日本では、雇用と消費支出はリンクしません。
 たとえば、人口の4分の1が高齢者になった社会を考えてみましょう。
消費者のうち、4人に1人が高齢者ですから、
消費支出が低迷するのは当然と言えるでしょう。
 高齢者は、あまり買い物をしません。
これは、高齢者がケチというわけではなく、
年を取れば取るほど、自然に「物欲」が少なくなってくるからです。
 一方、少子化によって、労働者が少なくなってきます。
その結果、労働市場は、逼迫します。
つまり、需要が多いのに供給が少ないという状態です。
 今の日本では、人口ピラミッドがひっくり返りつつありますので、
雇用と消費支出はリンクしなくなっているのです。
 こういう未来が見えていましたので、
私は、2003年から少子化対策が重要であると叫んでいましたが、
政治家たちは政争に明け暮れ、
官僚たちは会議に明け暮れ、
結局、進展のないまま10年以上過ぎてしまいました。
これも「失われた10年」と言えるでしょう。

人口ピラミッド 2005 5 3

書名 「人口ピラミッドがひっくり返るとき 高齢化社会の経済新ルール」
著者 ポール・ウォーレス 翻訳 高橋健次 出版社 相思社

 低迷する個人消費、低迷する株価、低迷する地価。
こうしたものは、バブル経済の崩壊が原因で、傷口さえ治れば、
つまり、過剰な設備、過剰な債務、過剰な雇用が改善されれば、
日本経済も、元に戻ると考えていませんか。
 しかし、三つの過剰と言われた「設備、債務、雇用」が改善しても、
日本経済は、さえない状態が続いています。
 バブル経済の崩壊という「外傷」に目を奪われていますが、
もっと根本的な問題が潜んでいませんか。
 それは、「人口ピラミッドがひっくり返る時」です。
日本経済も、日本の社会制度も、
人口構造がピラミッド型であることを前提として、
成り立っているはずです。
そのピラミッドが、ひっくり返る時、どうなるか。



















































































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